- 2019 水可溶性油彩 キャンバス
ゾロゾロと池の周りに人が集まって来ている。月に一度の明るい夜だ。貴重な電気はこの日のために大切に蓄えられている。今年は夜の年で昼はない。人々は家にこもりランプやろうそくの灯で暮らしている。住人同士が会って話せる唯一の機会でもあるから、お祭りと呼んではしゃぐ人もいる。
しかし、油断は禁物だ。あらゆる角度から監視されている。影ができないように四方八方からの強い灯で照らしている。悪しき企てを未然に防ぐためだ。
久しぶりの明るさに、気持ちが高揚する。まるで重力が消えて浮いているかのように。