紅い足跡 雨が降るかもしれないから、ゆっくりしてはいられないのだが、やはり来てしまった。 半世紀ぶりの生家は跡形もなく、どこに家があったのかさえも掴めなかった。 よくひとりで遊んでいた裏の原っぱに向かったのも何かを期待したわけではない。… a painting with a tale, 佐々木健, 白濱万亀, 白濱雅也, 真野めぐみ, 紅い足跡
地中庭園 いつもの決まった自転車通勤路の曲がり角で、缶コーヒーの空き缶をドラム缶に捨てる。 朝の日課のようなものだ。 ぼんやりと職場での今日の午後のスケジュールを思い出しながら、誤ってまだ中身の残っている缶を放り込んでしまった。… a painting with a tale, 一頁の絵本, 佐々木健, 地中庭園, 白濱万亀, 白濱雅也
霧中夢 今朝は霧が深い。 無音の水墨画のような朝だが、やけに赤い土が生々しく不調和 だ。 見慣れない色のホースに気づく。何を思ったのか、そっと触れてみる。… a painting with a tale, 一頁の絵本, 佐々木健, 白濱万亀, 白濱雅也, 霧中夢
離岸 水面が凍った今日がチャンスだ。向こうに渡れるかもしれない。 ずっとこの日を待っていたのだ。しかし、氷の厚さは十分だろうか。 私は泳ぎも自信はないし、落ちたらひとたまりもないだろう。… a painting with a tale, 佐々木健, 白濱万亀, 白濱雅也, 離岸
緑の津波 また少し緑が迫っている。勢いが増しているのか。向こうの家はもう緑に覆われて占拠されてしまった。この小さな散水ポンプが頼みの綱だ。… a painting with a tale, 一頁の絵本, 佐々木健, 白濱万亀, 白濱雅也, 緑の津波
アクセスポイント 長いうたた寝から目が覚めるように、気がつくとそこにいた。前にも来たような気がするが、具体的にどこかと言われればよくわからない。… a painting with a tale, アクセスポイント, 佐々木健, 白濱万亀, 白濱雅也, 真野めぐみ
明るい夜 ゾロゾロと池の周りに人が集まって来ている。月に一度の明るい夜だ。貴重な電気はこの日のために大切に蓄えられている。… a painting with a tale, 佐々木健, 明るい夜, 白濱万亀, 白濱雅也, 真野めぐみ