いつもの決まった自転車通勤路の曲がり角で、缶コーヒーの空き缶をドラム缶に捨てる。朝の日課のようなものだ。
ぼんやりと職場での今日の午後のスケジュールを思い出しながら、誤ってまだ中身の残っている缶を放り込んでしまった。いつも無断で放り込んでいるのだから、今更どうということもないはずだが、何か良心に触るところがあり、ドラム缶に戻って覗き込んだ。そういえば覗いたのは初めてだ。
予想に反してゴミも空き缶もなく、代わりに深い穴が空いている。深い穴の奥には植物や水があるようだ。しかも梯子のような柱が付いていて降りて行けるらしい。
暗がりの中でゆらゆらと揺れる水面と鮮やかに光る緑が誘う。
意を決してドラム缶の縁に脚をかけながら、自分の衝動に呆れてにやけてしまう。
今日はきっと欠勤することになるだろう。
（Coming Soon…）
